
一級建築士+ライフオーガナイザー(R)が提案する
インテリアと動線で片づけに悩まない暮らし
【第一回:キッチンから全てを見渡すインテリア】
新しい生活を始める時は誰しもがワクワクするものです。インテリア雑誌を何冊も読んで、気に入った家具を買い揃え、いざ生活を始めてみたら・・・
気づいたらモノがあふれて片づけられなくなっていた。
こんな悩みを持つ方は多いのではないでしょうか?
私は建築士として住宅の設計にかかわる傍らで、ライフオーガナイザー®として、片づけに悩む方のサポートをしています。価値観が多様化する社会の中で、片づけの正解は一つではありません。自分にとって、家族にとってストレスのない暮らしのカタチを見つけてください。
この連載では一つのベースプランを元に、住まわれる方のライフスタイル、行動のクセを元に7つの生活スタイルとそのインテリアをご提案します。
右図は私の勤める(株)ケイ・ジェイ・ワークスのモデルハウス「E BOX」の一階部分です。
LDKが一体となった開放的な空間になっており、家族のステージの変化に合わせて、フレキシブルに住まい続けることができるように考えられています。このモデルハウスの一階をベースとして、「片づけに悩まないLDK」を考えていきます。
Case.1 家事も育児も頑張るママ
Case.1のモデル家族をご紹介します。
夫:会社員(32歳) 出張が多く不在がち。休みの日は子供と遊ぶことを楽しみにしている。
妻:専業主婦(33歳) 家事・育児を一人でこなすため、LDKでの滞在時間がとても長い。
長男:小学1年生
長女:2歳
家事に、育児に奮闘する専業主婦が、子供の片づけスキルをアップさせ、すっきりと片づいた暮らしを実現する住まい方とインテリアは?
今回の提案を詳しくみていきましょう。
■子供の「片づけられた!」を実現する
LDKは子供が遊ぶスペースにもなるのでソファーセットは置かず、クッション型ソファーにします。日中は子供の遊ぶ場所となるので、大型の家具は少ない方が心地よく過ごせそうです。
写真や飾りたいものが、子供に荒らされることがないよう、テレビボードの上に飾り棚を設けました。玄関から入ってきて一番正面に見えるこの位置に、お気に入りのインテリアを飾ることで、自分の住まいがよりご機嫌に過ごせる場所になりますね。
リビングとダイニングの間には、ゆるい間仕切りを兼ねて収納棚を置きました。ここには、上の子のランドセルや学用品、下の子のオムツなどのお世話グッズ、おもちゃ、絵本などを収納します。
子供のモノを目に届く範囲で、パッとしまえるようにしておくことで、リビングやダイニングが散らかりにくくなりインテリアを整えやすくなります。置き家具なので、子供の成長に合わせて入れるモノを変えたり、子供部屋に移動することも想定し、子供っぽくなく、汎用性の高い家具としました。
ダイニングには様々な役割があります。食事をするのはもちろん、子供が宿題をしたり、大人が書き物をしたり、お客様を招いたりすることもあります。
ダイニングテーブルの上にモノを置かないために、使うものの出し入れがストレスなくできるよう、周りの収納スペースの使い方がポイントとなってきます。キッチンカウンター下の収納には、大人が使うモノを。リビングとの間の収納には子供のモノを。
それぞれの定位置をはっきりとすることで、お片づけが苦手な人でも、子供でも「もとに戻す」がラクに出来るようになりインテリアが整います。
キッチン横のスペースには、ママと子供の日常着が収められるユニットシェルフを置きました。わざわざ2階に上がらなくても着替えができるようになります。
■忙しいママに無駄のない動線計画
帰宅時のママの動線をみてみましょう。買い物から帰ってきたという想定です。
①着替える→②トイレ・手洗い→③買ってきたものをしまう→④お茶を入れる→⑤休憩
アウターやカバンなど外から持ち帰ったものの定位置を1階に用意することで、ダイニング周りへの置きっぱなしを防止できます。子供の様子を見ながら、自分の用事を済ませることできるインテリア配置です。
■ランドセルを放置させない動線計画
長男の動線です。学校から帰ってきた時の流れを想定してみました。
①ランドセルを棚に置く→②トイレ・手洗い→③おやつを食べる→④宿題を出してする
ランドセル置場を部屋の中心に持ってくるというアイデアのおかげで、2階に上がったり下りたりすることなく、宿題までスムーズに終わらせることができるようになっています。
子供が小さなうちは、LDKに子供のモノがどうしても散らかりがちです。子供が遊ぶためにおもちゃを広げるのは仕方ないこと。あまり口やかましく言って、子供を委縮させたくないですね。とは言っても、LDKが常に散らかっているのは、大人にとってはストレスが溜まるものです。
子供でも簡単に片づけができるスペースの用意。そして、スペースに見合ったおもちゃの量をコントロールすることで、子供がいてもスッキリしたインテリアに保つことができます。
いかがでしょうか?
やんちゃ盛りの男の子がいても、動線と仕組みを考えてあげることで家族みんなが気持ちよく暮らせる、片づいたインテリアのLDKが実現できるようになります。
動線とインテリアによる片づけに興味を持っていただけた方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
インテリアで仕事も暮らしも快適に!共働き夫婦のためのインテリア
インテリアと動線で片づけに悩まない暮らしを実践したい:リビング収納を物色中
【著者紹介】
和田さや子
一級建築士、ライフオーガナイザー。
株式会社ケイ・ジェイ・ワークスにて
住宅の設計に携わるかたわら、ライフオーガナイザーとして片づけ相談セミナーも開催している。
ブログ「子育て世代・共働き夫婦のための片づけに悩まない家づくり」
http://nigiplus.com/blog