スマートリモコンの定番! ラトックシステムのスマート家電リモコン:インテリアコーディネーターのためのスマートホーム入門(第四回)

スマートリモコンの定番! ラトックシステムのスマート家電リモコン

日本国内でAIスピーカーといえば、Amazon Echo、Google Home、LINE Clovaの3つですが、この連載の前回までで先ずLINE Clovaをご紹介しました。

AmazonやGoogleに先行されているものの、日本ならではのサービスや自社でClova Dockという家電リモコンを用意するなど、AIスピーカーと家電リモコンの関係を理解するための導入として分かりやすいと考えたからです。

今回はいよいよ、Amazon EchoやGoogle Homeといったメジャーどころと組み合わせる家電リモコンをご紹介します。歴史や使い勝手、シェアで他をリードするスマート家電リモコンを開発したラトックシステム株式会社(http://www.ratocsystems.com/home.html)でお話を伺ってきました。

ラトックシステムは1983年創業。大阪に本社を持ち、BluetoothやWi-Fiなどの無線に関する技術に強く、PC関連機器とそのソフトウェアを開発・製造・販売しています。

でもこの会社がユニークなのは、それにとどまらず、技術を活用して異業種を影からバックアップする姿勢。

オーディオビジュアル業界でも古くから有名で、「ラトックオーディオ」(https://www.ratocaudiolab.com)ブランドでのオーディオ機器はPCオーディオ愛好家の間で親しまれています。

ラトックオーディオの制振強化ケースと電源ユニット

【ラトックオーディオの制振強化ケースと電源ユニット】

ほかにも、エンジニアの開発を支援するオンラインサイトe2eを開設したり、酒づくりの過程で必要な温度管理などを遠隔で監視・記録できるシステム「もろみ日誌」を開発したりと、確かな技術の裏に情熱と遊びゴコロをそこはかとなく感じるところが魅力なのです。

家電リモコンの歴史

さて、家電リモコンの話に入りましょう。

家電制御が赤外線から無線へと移行してくると、ブルートゥース機器を中心に展開してきたラトックシステムが2014年7月にはじめて家電学習リモコンREX-BTIREX1を世に送りました。

REX-BTIREX1

【REX-BTIREX1】

これは、沢山あるリモコンをスマートフォンひとつにまとめ、Bluetoothで家電を操作できるもの。デジタルガジェット好きの30代から50代の男性が主なユーザーで、ワンプッシュでスクリーンを下ろして、照明を消して、プロジェクターを付けて・・・というように、たくさんの箱物オーディオビジュアル機器をタイマーやマクロ機能などを駆使して一括制御しようとする比較的マニア層のホームシアターユーザーが多かったようです。

やがて、家の中だけでなく、外からも操作したいというニーズが高まります。BluetoothではなくWi-Fiで接続する方向で検討が始まりますが、そのためには投資をしてセキュリティを確保したサーバーを用意する必要があり、ユーザーにその維持費の負担を強いることになってしまう・・・。

月会費などを徴収することなく、ハードウェアの売切りで提供できないかと思案していた折り、Amazonがクラウドコンピューティングサービス、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を開始。これを活用すれば、ラトックシステムはハードウェアやソフトウェアに設備投資が掛からず、使った分だけ維持費を支出すれば済みます。セキュリティの面でも、世界のAmazonのサーバーなら常に最新の状態で安全が確保できると踏んだのです。

こうして、外出先からクラウド経由で家電を操作できる目途が立ち、2015年12月にWi-Fi接続できる家電リモコンREX-WFIREX1が発売されました。

REX-WFIREX1

【REX-WFIREX1】

価格は15,000円。しかもクラウドを使用したサービスは月額使用料がかかることが常識の中、この製品は不要を謳っており、当時としては破格でした。しかし、今ほどスマートホームが身近ではなく、さらに普及をすすめるためなんとか1万円を切りたいとの思いで、2017年8月には税込9,000円でREX-WFIREX2を発表します。

REX-WFIREX2

【REX-WFIREX2】

とはいえ中身はREX-WFIREX1とほぼ同等。コストがかさみます。ちょうど2017年11月にAmazon Echoが発売となり、AIスピーカーと連携し声で家電を操作する需要を見越して、さらに製品をリーズナブルかつ小型化する必要が生じます。

そこで、拙宅でも愛用しているスマート家電リモコンRS-WFIREX3が2017年12月にリリースされました。

RS-WFIREX3

【RS-WFIREX3(写真中央)】

これがスマートスピーカーとの組み合わせで爆発的にヒット。ユーザーも、家事に忙しい女性ユーザーが中心になり、家族で使うツールへと変わりました。男の子のホビーから、住宅設備を制御する家族のためのアイテムとなったのです。

2018年にはGoogle Assistantに対応。さらに、2018年12月にはAppleがiOS12の一機能として提供しはじめたSiriショートカットにも対応済みとなりました(実はコレもすごいことなのですが、また別の機会に、、、)。

2019年1月には、リビングのインテリアになじむホワイト色で壁掛け対応した小型化モデル、RS-WFIREX4が登場。RS-WFIREX3で好評の機能はそのままに小型・軽量化をすすめ、性能面では赤外線の送信能力を強化(20mから30mへ)しました。もはやこれに至って、完全に住宅設備の司令塔になったといっても過言ではありません。

RS-WFIREX4

【RS-WFIREX4】

 

RS-WFIREX3(左)と比較したRS-WFIREX4

【RS-WFIREX3(左)と比較したRS-WFIREX4】

 

スマート家電リモコンで何ができる??

さて、このような「歴史」をご紹介してきたのには理由があります。ラトックシステムのスマート家電リモコンが他の家電リモコンと比べてリーズナブルかつ先進的な理由の一つに、同社が早くからアマゾン ウェブ サービス(AWS)を活用しアマゾンとの連携を図ってきたことがあるからです。

サーバーを自前で維持管理するコストがお客様に転嫁されない売り切りタイプにできたこと、ラトックシステムが管理するアマゾン ウェブ サービスを活用することで、Amazon Alexaはもちろん、Google Assistant(グーグル アシスタント)、AppleのSiri、NTTドコモのmy daiz(マイデイズ)でも動作するスキルを他に先駆けて開発、提供できたことは大きいのです。

【ラトックシステムのスマート家電リモコンが家電をコントロールする仕組み】

【ラトックシステムのスマート家電リモコンが家電をコントロールする仕組み】

そして、前回の「LINE Clova実践編」で説明した「スマートスピーカーLINE Clova+家電リモコンClova Dock」の組み合わせとの比較では、次のような点が長所として挙げられます。

(1)スマート家電コントローラ自体が内蔵するセンサーによって、その部屋の温度、湿度、照度をリアルタイムで外出先から確認できること。

部屋の温度、湿度、明るさがリアルタイムで分かることによってペットの見守り需要に応えるなど、家電の見える化により、マニアでないファミリー層にとってもIoTは身近になったのはとても大きいと思います。

外出先からもスマートフォンApp上で温度、湿度、照度が確認できる。

【外出先からもスマートフォンApp上で温度、湿度、照度が確認できる。】

(2)スマートスピーカーで先行するAmazonと巨大グローバル企業Googleの開発資産をそのまま活用できることが大きいと思います。

まずAmazon Echoを制御するスマートシステムAlexaでは、アマゾンが提供するプリセットのコマンド「スマートホームスキル」だけでもかなり自由度の高い操作が可能です。

【Amazon Alexaと簡単に連携できる】

【Amazon Alexaと簡単に連携できる】

具体的には、スマートスピーカーから声で操作する場合、「アレクサ、『家電リモコンを使って』エアコンをONに」など、ワンフレーズ『家電リモコンを使って』を入れなければならなかったのが、「アレクサ、エアコンをONにして」で済むということです。

つまり、家電リモコンメーカー側で作れる代わりに「家電リモコンを使って」を挿入する必要がある「カスタムスキル」ではなく、「スマートホームスキル」でできることも拡大しており、2019年1月末にアマゾン側でエアコンの温度設定や設定変更ができるサーモスタット機能がサポートされたことを受け、スマート家電リモコンも対応。カスタムスキルではディスプレイ付きスマートスピーカーAmazon Echo Spotのスクリーン表示にも対応するなど、どんどん便利になっています。

アマゾンはアップデートによる対応が早いので、ラトックシステムとしても不具合に素早く対応できるそうです。

一方、Google Homeを制御するGoogle Assistantも、家電リモコンメーカー側で作る「Conversation Actions」のみならず、Googleが用意している「Direct Actions」に対応しています。

ワンフレーズ『家電リモコンを使って』を入れずに「OK Google、エアコンをONにして」といった具合で済むものが多いということです。

もっとも、「Direct Actions」は、エアコンの「電源ON/OFF」「温度変更」「運転モード指定」には対応するものの、テレビには対応していません。GoogleとしてはChromecastを推奨、ということなのかもしれません。それはGoogleの提供するショートカット機能「ルーティン」やIFTTT(イフト。Facebook,、Evernote、Dropbox,、Twitter、LINE など様々なソーシャルサービスを連携できるWebサービスで、 ユーザーが『レシピ』と呼ばれるコマンドを作成・共有・使用できる)に何か固有の言い回しを登録して回避することになります。ただ、GoogleHomeでは、Conversation Actionsを使ってメーカー側で対応家電の範囲を広げる取り組みをしており、たとえば声で電動カーテンの制御ができるなど自由度は確実に広くなっています。

その上で、Amazon Echo、Google Homeともに、(a)家電を部屋ごとに制御できる、(b)好みの言い回しにカスタマイズできるようになっています。AppleのSiriショートカットも同様の連携が可能です。これらを活用すれば、「ただいま」でリビングの照明、エアコン、テレビを全部ONにしたり、「おやすみ」で家の照明を全部OFFにしたりできるようになります。

なお、ドコモが提供するマイデイズは、ラトック家電リモコンが唯一の対応製品で、「家電くんに繋いで」と言えば「家電くんに代わります」と応答してくれます。

【ドコモ マイデイズとの連携】

【ドコモ マイデイズとの連携】

ちなみに、LINE Clovaは自社で赤外線リモコンのClova Dockを提供する独自路線なので、いまのところラトック社のスマート家電リモコンとの連携の予定はないとのことです。

さらに、ラトックシステム自身がサーバ上で管理する家電コマンドのプリセットデータは、ほぼ毎月更新。5月現在、450種類を超える中からユーザーが所有する製品を選択すればたちまち登録完了となります。

ラインナップはテレビ、エアコン、照明のほか、レコーダーやホームシアター機器、扇風機、掃除機、電動カーテン、加湿器など幅広くフォローしており、対応はWeb上でPDFで確認できます(https://iot.ratocsystems.com/support/preset/)。

それでも登録がないもの、あるいは自分でオリジナルリモコンをカスタマイズしたい場合は、スマート家電リモコンの赤外線の手動学習機能で、スマートフォンの画面ボタンに割り付けて登録すればOK。登録作業も一度体験すればカンタン、スムーズに誰でもできますよ。

【手動学習機能でオリジナルのリモコンを作成できる】

【手動学習機能でオリジナルのリモコンを作成できる】

さまざまなクラウドと連携してどこにでも

さて、このようにAmazon EchoやGoogle Homeなどと素早く連携してサービスを提供できる仕組みについて、Amazonとの提携に至る「歴史」のところで触れましたが、実はどのサービスを選ぶにせよ”クラウド型スマートホームの仕組みの核”になる部分なので、この場を借りて補足しておきます。

【ラトックシステムのクラウド型スマートホームの仕組み】

【ラトックシステムのクラウド型スマートホームの仕組み】

ラトックシステムが自ら管理するアマゾン ウェブ サービス(AWS)に、次世代のサーバ機能AWS Lambda(ラムダ)があります。それが、AmazonのAlexaを操作する言語「スキル」を通じてスマートスピーカーAmazon Echoと対話。それと連携するスマート家電リモコンが赤外線を通じて各家電を操作します。

ちなみに、リモコンの対応家電リスト(プリセットデータ)は、日本にあるリモコンのデータを手動で登録し、随時追加をおこなっています。以前は、アプリ側にデータとして持たせていました。しかしそれではアプリ本体のバージョンアップ時のみの更新となり、プリセットデータの更新を迅速におこなうことができません。そこで両者を分離し、プリセットデータはアプリとは分離してクラウド(Amazon S3)上に持たせることにしたそうです。プリセットデータは月に一度程度と頻繁に更新されています。

では、Google AssistantやAppleのSiriショートカットなど、アマゾン以外のシステムと連携するときはというと、Amazon側のアプリケーションとインターネット上のパブリックなサービスを繋ぐ門、Amazon API Gatewayを通してやりとりしています。

この仕組みを採用することで、ラトックシステムはさまざまな顧客のクラウドと連携。特定の業者向けにラトック社が提供しているサービスにも使えるわけです。

IotやAIをウリにした分譲マンションが登場し始めていますが、公表されているだけでも、横浜MIDベースタワーレジデンスや、ダイワリビングのIoTD-roomなどがあります。

個人宅向けのサービスとして、株式会社アイテムが展開するクラウド型スマートホーム「Peace Eye」は興味深い取り組みです。

クラウド型スマートホーム「Peace Eye」

【クラウド型スマートホーム「Peace Eye」】

今後はたとえば、ホテルの客室に常設のタブレット端末で部屋の全ての家電を操作したり、ゲストのスマートフォンをリモコン代わりに・・・ということも実現したいとのことでした。

ラトックシステムの考える、今後のスマートホーム

このように、スマート家電リモコンも、インテリアとの調和やトータルの見守り・制御、設定の簡便性が向上したことで、単なるガジェットから暮らしそのものを豊かにする手段として浸透するのは間違いなさそうです。

無線の技術で最先端を歩んできたラトックシステムが、住宅におけるスマートホーム需要についてどのように考えているのか、伺ってみました。

すると、難しい設定を要するガジェット機器からスムーズに始められるスマートホーム機器へと移行し、そのシステムが世代を超えて抵抗なく使い始められる環境が整ってくれば、住宅へのスマートホーム標準化は加速的に進むでしょう、とのこと。

そこに一役買うのが、話しかけることで家電を操つれるスマートスピーカーと、インターネットを活用したスマート家電リモコンでしょう。

しかもそのインターネットは、有線接続から無線へ。巷では次世代通信として5Gなどが話題になっていますが、Wi-Fiだけでなく様々な新しい無線規格の登場に伴って、どこでも誰でも扱えるようになっていく。

近距離無線でも、安定性が高くスマートメーターへの採用で注目度の高いWi-SUN(Wireless Smart Utility Network、ワイサン)や、セキュリティにすぐれるZ-Wave、さらには新たな移動系通信規格LPWAとしてCat.M1やNB-IoTなど、比較的消費電力が低くリーズナブルなものは家電リモコンにもってこいです。

そうなると、スマート家電リモコン自体に無線が内蔵され、それ自体がIoTデバイス・通信規格となる日も。電波環境が整備されれば、ラトックシステムの技術力をもってすれば端末の開発に1年もかからないかも知れません。

また機能面でみても、スマート家電リモコンが内蔵するセンサー機能を活用すれば、「もろみ日誌」の“空気”版として、さまざまな環境での空気の質を監視・調整しデータベース化して評価できるでしょう(Bluetooth版ですがリリースされています。(http://www.ratocsystems.com/products/subpage/btpm25v.html

「もろみ日誌」の“空気”版

もちろん、熱中症リスクの予防は、一人暮らしや高齢者世帯、障がいなどのハンディキャップを持つ人、大切な家族の一員であるペットの「見守り」や「アシスト」として需要は高まっていくでしょう。

そして、車に自動運転技術が導入されるように、家庭にもホームオートメーションが普及していく。ただ一方で、その背後には、各家庭の暮らしに合わせた使い方提案が必要で、そのためのコンシェルジュの存在が必要。

その点、ラトックシステムは、先に触れたように対応機器の更新やアプリのアップデートなどが素早いうえ、facebookを使ったフォーラム「ラトック・スマート家電リモコンコミュニティ」で自由な情報交換を促すなど、手厚くもあたたかいサポート体制が嬉しいですね。

【facebookページ「ラトック・スマート家電リモコンコミュニティ」】

【facebookページ「ラトック・スマート家電リモコンコミュニティ」】

スマートホーム入門目次
インテリアコーディネーターのためのスマートホーム入門
スマートスピーカーってなんだろう?
日本のスマートスピーカー LINE Clova
スマートスピーカー LINE Clovaの実践編です
スマートリモコンの定番! ラトックシステムのスマート家電リモコン(このページです。)

遠藤義人氏この記事を書いたのは:遠藤義人氏
fy7d(エフワイセブンディー) 代表

ステレオサウンド社で住宅インテリアとホームシアターを融合する雑誌「ホワイエ」を編集。2015年に独立、個人オフィス開設後もそのコンセプトを引き継ぎ、大画面&いい音を通じて、家族やゲストみんなで楽しめる場としての住まいや暮らし方を提案している。

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