
インテリアコーディネートにとって照明は、インテリアのイメージを左右する主役にもなれば空間の質を高める(雰囲気づくり)ための縁の下の力持ち的存在にもなります。
照明に興味を持ち始めると何処へ行ってもついつい照明が気になります^^; そんな照明大好きな”わいずはんず”の加藤がインテリアライティングについてまとめてみたいと思います。
お打ち合わせのポイント
まずは、お客様とお打ち合わせをする際に私自身が気をつけていること、また知っておくと役立つかなと思うことをあげてみました。
☆インテリアイメージは?
照明に限った話ではありませんが、お客様の描いているお部屋のイメージをしっかりと把握出来れば計画しやすくなります。
イメージによって選ぶ器具や配灯計画が大きく変わってきます。インテリアイメージの写真などを見ながらお客様の描いているイメージをヒアリングします。
具体的なイメージボードがあると分かりやすいですね。言葉だけでは、お客様のイメージと差がある場合が結構多いものです。
☆家族構成(ライフスタイル)は?
家族構成を把握して食事や団欒、勉強といった部屋の用途や生活パターンをヒアリングします。年齢によっても必要な明るさは変わってきます。
例えば20代と60代を比べると約3倍の明るさが必要になると言われています。家族に高齢者がおられる場合は、ワンランク明るめの器具をお勧めし、安全で眩しくないようにする配慮が必要です。
時には、たたき台的に図面だけで照明プランを依頼されるケースもあります。そんな場合も図面から「ここは子供部屋かなぁ?、ここは二世帯の親世帯のお部屋かなぁ?、家具はこう配置すると使い勝手が良さそうだなぁ?」などと想像しながら作成しています。
☆配灯計画(+スイッチの位置・動線)を検討する
部屋を均一に照らすより、見せたいものに光を当てるようにすれば、空間にメリハリが生まれてフォーカルポイントが引き立ちます。
家具の配置やエアコンの位置を把握して計画しましょう。
例えば四角い部屋に照明を配灯する場合、部屋の中心にシーリング、回りにダウンライト4灯をバランスよく配置するのが一般的でしたが、部屋の隅に取付ける事が多いエアコンを照らしてフォーカスしてしまうことに・・・(汗)
エアコン側には、ダウンライトを配灯せず、フロアランプを置いてみてはいかがでしょう?
部屋のコーナーにあかりだまりがあるとお部屋のポイントになって安らぎ効果もアップします。また、ダウンライトの光が当たった観葉植物も生き生きと綺麗に見えますね。
そしてブラケットや建築化照明は、後から欲しいと思って手遅れとなってしまわぬように。
また、ダウンライトを使用する場合は、カタログで1/2照度角を確認して配置することが大切です。
意外と見逃しがちなのがカーテンの存在。窓のそばにブラケットを配灯するときはカーテンだまりを忘れずに。
平面図だけではなく、展開図やパースを見ながら取り付け位置や高さをチェックしましょう。(下図)
熱の心配が少ないLEDランプを使えばカーテンボックスの中に配灯してカーテンに光を当てることも可能になりました。(下図)
スイッチは、動線や使い勝手を考慮して3路スイッチやセンサーをうまく使いましょう。スタンドを置きたいところには、コンセントをお忘れなく。
また、リフォームの際には、配線が入らないところも要チェックです。
☆一室多灯で快適空間をゲット!(明るさ感+光源色)
配灯計画で一緒に考えなければならないのが、部屋の明るさと光源の色。実際に部屋の明るさ感は、上からだけ照らすよりも目線の明るさが影響します。
間接照明で壁や天井を照らして目線の先を明るくするのが効果的です。下図の床の間の奥の壁のように凹凸のある内装材に光をあてるとより立体的に見えて質感もUPします。
他にも注意したいポイントは、
*内装材の反射率
反射率の低い色の濃い内装材が使われた部屋はワンランク明るめの器具を選びましょう。
*内装材の艶
艶のある素材が使われていると、本来は器具が見えないはずの間接照明の器具が内装材に写り込んで残念なことになっている事例を意外とよく見かけます。
*照度の目安
明るさの目安は、照度(lx)で表しますが、LED器具は、ルーメン(lm)で表示されています。それぞれカタログで確認しましょう。
最近は、雑貨屋さんやインターネットでおしゃれな照明器具を気軽に購入できるので、デザイン重視で照度が足らない場合もあります。
お客様が購入されたものを取付ける場合は確認しておきましょう。
*取付け高さ
照明器具の明るさは、取付け高さが2倍になると1/4になってしまいます。
*適色・適光
色彩の心理効果により生活シーンにあった光色(電球色・昼白色・昼光色)を選ぶことが大切です。(光の心理効果参照)
照明を変えてみたら・・・
私の家族は、以前はとても寝つきが悪かったのですが、寝室にスポットライトを使った即席間接照明を取り入れることによって驚くほど改善しました。
調光スイッチを取付けたスポットライトを天井へ向けて取付け、調光した柔らかい電球色の光で天井付近の壁や天井をほんのり照らします。
シーリングを消して上からの直接光が目に入らないようにすればOKです。朝までつきっぱなしがモッタイナイという方は、タイマーコンセントがおすすめ。
電球色VS昼白色・・・どちらがお好きですか?
私がこれまでにお打ち合わせをさせていただいた中では、昼白色の照明を好まれる方が多く、特に年配の方に多かったように思います。
「電球色は暗いから大嫌い!」とはっきり仰る方もおられました。東海林弘靖氏の著書「日本の照明はまぶしすぎる」の中にも日本の家は明るすぎると書かれているように日本人は相対的に明るさを好む傾向にあるようです。
お客様のご要望であれば仕方がありませんが、日中はスッキリとした白い光を浴びて活動的に過ごし、夕方以降は、電球色の柔らかいあかりでホッコリと1日の疲れを癒していただきたいところです。今なら調光・調色ができるLED器具をご提案することが出来ますね。照明の色を使い分け出来る便利な時代になりました。
私のおススメ照明機器
前述の即席間接照明に使用した照明機器をご紹介します。
まず、ライトはディクラッセのピノッキオ。洗練されたデザインがお気に入りですが、残念ながら製造終了してしまいました。
今選ぶとしたらこちらもいいと思います。
ARTWORKSTUDIOの-Cliplight(S) (L) 。
http://www.artworkstudio.co.jp/products/archive/factoryclip/
赤いコードがかわいいアメリカンテイストのクリップライトです。
調光にはコイズミ照明のクレデンザ(AEE695018)を使用しました。
白熱灯を調光すると色温度の低いオレンジ色の光に癒されます。タイマーコンセントは、コンセントと照明器具のプラグの間に入れるだけで、指定時間になると電源をオフにしてくれる便利な器具です。
いろんなメーカーから発売されていますが、パナソニックのダイヤルタイマーがスッキリしたデザインで使いやすいのでおススメです。あと、ちょっと変わり種の照明器具もご紹介しておきましょう。
スピーカー内臓のLEDランプ。iPhoneに専用アプリをインストールすれば、Bluetooth経由で音楽が聴けるスグレもの。iPhoneを振ればランプの調光が出来るんですよ。新製品は色が変化するタイプも。。。
これを寝室の照明器具にすれば、お気に入りの音楽を聴きながら気持ちよく眠りにつけます。
PLAYBULBの公式サイト
http://www.playbulb.com/jp
☆コストとメンテナンス
最後に忘れてはならないのがコストとメンテナンスです。どんなに良いプランもご予算に合わなければ絵に描いた餅で終わってしまいますね。
ご予算内でより良い計画を立てることがプランナーの腕の見せどころです。ひと昔前に比べると照明への関心が高まって来ているので、
安全にも配慮して使いやすく癒される空間をどんどん提案していきましょう!
球の交換が容易に行えるか?掃除はしやすいか?などメンテナンスも大切です。
知っておきたい光の心理効果
あかりは、知らず識らずのうちに私たちの体や心に働きかけています。
プランをする際、光の心理効果をプランに活かしましょう。☆クルーゾフ効果
勉強部屋や書斎には、昼白色や昼光色、団欒や食事には電球色が向いています。それぞれの照度にも要注意!電球色は照度が高すぎると暑苦しい印象を与え、逆に昼光色のような涼しげな色は照度が低いと陰気な雰囲気になってしまいます。
☆サーガディアンリズム
人間の体が、1日約25時間の周期で繰り返される生体リズムのこと。
1日1時間のズレを陽の光を浴びたり、食事をしたりすることによって24時間周期に調節している。照明はこの自然光の変化に合わせることが望ましいと言われています。夜になっても昼間のような白い明るい光を浴び続けると睡眠障害を起こすケースもあるので照明環境はとても大切です。☆サバンナ効果
向かう先が明るいと人は安心して歩みを進めることが出来るという心理効果。誘導の光として利用すると効果的です。

著者:加藤由佳里
インテリアコーディネーター/一級色彩コーディネーター /照明コンサルタント。
インテリアコーディネーター協会関西(ICA関西)会員 情報広報副委員長
色や光の魅力を活かした心地好い空間作りを心がけています。手作りが大好きなインテリアコーディネーターのユニットY’s Hands(わいずはんず)のメンバーとしてイベント参加やモデルルームの設営など楽しく活動しています。
http://ys-hands-19-19.blog.so-net.ne.jp