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日本の伝統美 ライフワークに
- 2016/3/8
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- インタビュー, インテリアコーディネーター

【Juju INTERIOR DESIGNS 亀井寿子さん】今回は、インテリア産業協会が実施した平成27年度住まいのインテリアコーディネーションコンテストで、特別審査員賞を受賞された株式会社Juju INTERIOR DESIGNSの亀井寿子(かめいじゅんこ)さんにお話をうかがいました。
― この度は受賞おめでとうございます。
亀井:ありがとうございます。今回が初挑戦だったのですが、ここまで積み重ねてきたものを評価いただけたということで、大変うれしいです。
― 受賞された物件のテーマは『「伝統と革新」 日本文化が中心』ということで、相反する要素をうまくまとめられていらっしゃいます。住まい手さんからはどのような要望があったのでしょうか?
亀井:実は、ご主人様と奥様の要望がまさに相反していたんです。ご主人様は都会的で洗練された「ホテルライク」な住まいをリクエストされていたのですが、奥様としては子供たちの節句飾りなど、季節を感じられる伝統工芸品を飾りたいという要望をいただきました。さらに、空間を有効に活用したいので和室をなくしたいとも。難しいリクエストではありましたが、すべてを解決する提案ができました。
※詳細はインテリア産業協会 「住まいのインテリアコーディネーションコンテスト」平成27年度 審査結果・受賞作品のページをご覧ください。
― 現代的な空間でありながら、内装材やファブリックに日本の伝統色を取り入れてイメージを統一させています。
亀井:インテリアといえばヨーロッパが先進国です。そのセンスを磨くために、私は英国デザイン協会に所属していて、海外の状況も視察していますが、外に出てみて改めてわかる日本の良さを実感できるようになりました。
― 亀井さんはずっと住宅のインテリアを手掛けてこられたんですか?
亀井:学校では住宅系のインテリアを学んだんですが、スタートは店舗設計でしたね。店舗の方がデザインの自由度が高いので、そちらのほうが楽しそうだな、と。なので店舗設計の会社やオフィスプランニングの会社に10年ほど勤務して、商業施設やオフィス、ショールームなどのインテリアを手掛けました。
― その後、住宅のインテリアへ?
亀井:はい、ハウスメーカー2社でインテリアコーディネーターとして勤めました。ここで一般住宅のコーディネートからモデルハウスや、商談コーナーなどのオフィス案件などのコーディネート経験を積みました。

これまでの仕事について語る亀井さん
― 順調にキャリアを重ねて、その後独立されるわけですが、何かきっかけはあったのでしょうか?
亀井:企業に所属していると、その企業の「枠」の中でインテリアコーディネートをすることになります。それが歯がゆくなってきた、ということでしょうか。お客さま側にも「もうちょっと自由にやりたいな」という思いが感じられることもしばしばありましたし。店舗提案やオフィスデザインで自由度の高い空間設計を経験していたこともあり、住宅のインテリア提案をもっと自由にやってみたい、という気持ちが高まってきたのを機にフリーランスになりました。
※Houzzの株式会社Juju INTERIOR DESIGNSのページより
※Houzzの株式会社Juju INTERIOR DESIGNSのページより
― フリーになられて、苦労されたことはありますか?
亀井:苦労というわけではないですが、開業から2年間、個人事業としてやっていた時に、大きな仕事を直接受けることができなくて、悔しい思いをしました。大きな企業の仕事を受けるのにはこちらも法人である必要があることを痛感しました。
― それで株式会社Juju INTERIOR DESIGNSを設立されたわけですね。
亀井:はい。下請けではなく、元請けとしてインテリアデザインの仕事を請け負うというのも法人化の目的の一つですが、私としては、インテリアデザイナーとしてのブランディングを確立していきたいんです。海外ではインテリアデザイナー自身の名前がブランドになっていることが多いんですね。自分もそんなインテリアデザイナーになりたい、という思いもあります。
― 法人化されてから5年が経ちますが、亀井さんの思いは実現されていらっしゃいますか?
亀井:まだまだ道半ばですね。日本ではインテリアデザイン・コーディネートに対する対価が確立されているとはいえません。ハウスメーカーであれば、インテリアコーディネートはサービスとして付いてくるようなイメージです。インテリアコーディネートの価値をさらに認めてもらえるようにしていきたいですね。
― 亀井さんが、これから目指すインテリア、というものはありますか?
亀井:今後は、医療系のインテリアにも力をいれていきたいです。今、少子化ということもあって小児科や産婦人科はインテリアにも気を配られていますが、私としては、生活空間としての医療施設を提案していきたいと考えています。

東京ベイ先端医療 幕張クリニックの受付

東京ベイ先端医療 幕張クリニックの受付
― 具体的にはどのような?
亀井:以前、東京ベイ先端医療 幕張クリニック様のインテリアデザインを手掛けました。その時に考えたのは、がんの診断に来る方の不安を和らげる癒し、そして、がんを宣告された場合にもメンタルの部分で支えられるような医療空間を提案できたら、ということでした。

東京ベイ先端医療 幕張クリニックの待合室
今後、高齢化社会になっていきますが、病院に行って暗い気分になるのではなく、もっと明るく未来を考えてもらえるようなインテリアが重要になってくると思います。病院は外来だけではなく、入院患者さんが「暮らす」生活空間でもありますから、住まいのインテリアコーディネートの経験を活かしていきたいと考えています。
― 本日は、ありがとうございました。

亀井寿子(かめいじゅんこ)
株式会社Juju INTERIOR DESIGNS 代表
http://www.tc-juju.com/
店舗デザイン、オフィス設計、ハウスメーカーを経て、愛知県でフリーランスインテリアデザイナーとして活躍中。日本の文化や風土を大切にした空間デザインを大事にし、美しく、機能的で快適な空間を提案している。