ホームステージングは物件を売るためだけのものじゃない:日本ホームステージング協会インタビュー

日本ホームステージング協会

ホームステージング」は、1970年代にアメリカで生まれた言葉で、中古住宅の再販時に家具や調度などでインテリアコーディネートすることで、販売価格の維持、販売期間の短縮を目指すものです。ホームステージングは欧米で人気の販売促進手法ですが、2017年頃から日本でも徐々に中古住宅販売に取り入れられつつあります。
しかし、我が国でホームステージングという言葉が認知される約4年前の2013年に、この手法を普及させようと立ち上がった組織がありました。それが日本ホームステージング協会です。
今回は、同協会代表理事の杉之原冨士子氏にお話を伺います。

杉之原冨士子氏杉之原冨士子氏
日本ホームステージング協会 代表理事

日本の住宅事情に合った日本独自のホームステージングを体系化し、専門知識や技術を習得する認定資格を提供。2017年からホームステージングの実態調査も開始。業界の枠を超えた新たな産業としてホームステージングを定着させる活動を展開中。

 

 

 

- まず、杉之原さんの経歴から教えてください。

杉之原氏(以下、敬称略):日本ホームステージング協会を立ち上げる前は、運送会社の引っ越し部門で営業を担当していました。たくさんのご家庭の引っ越しを請け負う内に、ホームステージングというものを普及させていこう、と思い立ったのです。

- 引っ越しとホームステージングですか。それはどういったことでしょうか?

杉之原:引っ越しというのは、新居に移る前に、当たり前ですが今の住居の荷物を梱包しなければなりません。もう15年以上前のことですが、引っ越しの見積もりでお客様とお話ししていると、「モノが多すぎて片付けられないので梱包が大変」「大量のモノを新居に運んでも、やっぱりモノがあふれて新しい暮らしを楽しめない」という悩みをよくいただいたんです。そこで、別会社として片付けと梱包専門の会社を立ち上げたんです。

- 今では多くの引っ越し業者でおなじみの梱包サービスのハシリですね。

杉之原:私たちは梱包するだけではなくて、引っ越し前のお片付けや、引っ越し後の快適な暮らしのお手伝いまでやっていました。
それで、あるお客様から「持ち家を売却したいのだが、モノが一杯なので片付けてほしい」という要望をいただいたんです。
この仕事で片付けと合わせて見栄えよく設えたのですが、これがお客様にとても喜ばれました。そこで物件売却のための「内覧のためのお片付け」というサービスメニューを作ったんですが、不動産会社の営業の方から「これではお客様が片付けられない人、という印象になるので勧めにくい」と言われてしまいました。それでいいネーミングがないかな、といろいろと調べたところ「ホームステージング」という言葉に出会ったんです。

【日本ホームステージング協会認定ホームステージャーのホームステージング事例】

【日本ホームステージング協会認定ホームステージャーのホームステージング事例】

- それが2013年ですね。その頃はまだホームステージングという言葉は誰も知らなかったんじゃないですか。

杉之原:その通りです。それで、このホームステージングというすばらしい手法を日本に広めていこうと考えて一般社団法人日本ホームステージング協会を設立しました。
当協会でホームステージングを普及していくにあたって、日本におけるホームステージングの定義を明確にしようと考えました。
ご存じの通り、発祥の地アメリカにおけるホームステージングは、中古住宅売却の販売促進手法です。でも、引っ越しと片付けという仕事をしていた経験から、ホームステージングの手法は日々の暮らしにも役立つと確信しました。
そこで、日本独自のホームステージングの定義として
住まいの価値や暮らしの質を高めること
としたんです。

- 中古物件を売るためだけのノウハウにしておくのはもったいない、と?

杉之原:そのとおりです。ホームステージングを行うにはまず、モノを片付け、掃除をして、不要なモノを捨て、それから快適なインテリアの設えをすることになります。これらは、日常の暮らしの質を高めることにも間違いなく役立ちますよね。さらには超高齢社会となっている日本独自の問題として、遺品整理や生前整理なども重要なノウハウになっています。当協会が育成するホームステージャーは、物件販売促進のためのホームステージングノウハウに加えて、片付けの技術遺品整理のための知識も身につけた、いわばライフスタイルのターニングポイントで住まいと暮らしをサポートするポジションを目指しています。

【片づけを中心としたホームステージングを実施した住宅の事例】

【片づけを中心としたホームステージングを実施した住宅の事例】

- 住宅、そして暮らしをよりよくするための専門家という感じですね。そんな日本独自のホームステージングを活かして、貴協会では幅広い業種・職種の方がホームステージャー資格を取得されていますね。

杉之原:はい、中古住宅販売に関わる不動産業の方はもちろんのこと、ハウスメーカー工務店リフォーム会社インテリアコーディネーター、さらにはホームステージング専門で起業される方まで、全国で2243名(2018年5月末現在)の方がホームステージャー認定を受けて活躍されています。

【ホームステージャー認定講座受講の様子】

【ホームステージャー認定講座受講の様子】

- 本当に様々な業態の方が取得されているのですね。取得した方はホームステージャー資格を、どのように活用しているのですか?

杉之原:それぞれのコア事業にホームステージングをプラスすることで他社との差別化を図っているようです。今後、当協会のホームページなどを通じて具体的な事例を交えて紹介していこうと考えております。
また、ホームステージャー交流会という、ホームステージングの実例公開、ホームステージャー同士の情報交換、ホームステージャーとのマッチングなどができる会合も定期定期に開催しています。
さらに、ビフォー&アフター写真でホームステージングの実例を競い合う「ホームステージングコンテスト」も毎年実施していますので、この応募作品もホームステージャーの業務事例として参考にしていただけると思います。

- 本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

日本ホームステージング協会のホームページ
http://www.homestaging.or.jp/

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