荒井詩万のインテリアプレゼン術:第一回「フリーランスインテリアコーディネーターのワークフロー」
- 2019/1/9
- ノウハウ, プレゼン術, 仕事に役立つ
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皆さん、こんにちは!
インテリアコーディネーター荒井詩万です。
この連載では、「荒井詩万のインテリアプレゼン術」として、フリーランスの私がどう仕事を獲得し、お客様にご満足いただける提案をしているのかについて、様々な切り口でお届けしてまいります。
第1回のテーマは「フリーランスインテリアコーディネーターのワークフロー」。
私が実際にどんな流れで仕事をしているのかをお話させていただきます。
ステップ1:ご依頼
私の仕事の約8割はホームページやブログ(最近はインスタグラムも)をご覧になった方からの新規のご依頼です。
ホームページとインスタグラムにはインテリアコーディネートの完成写真を多数掲載しています。
またブログにはプランニングの過程や現場の様子もアップしています。
HP:CHIC INTERIOR PLANNING http://chic-interior.net/
この「情報発信」がネットからの受注につながっています。仕事を獲得をするための“発信”で心掛けていることについては、この連載の別の回でお話しますね。
残りの2割は、今までのお客様からのリピートと、そのお客様の友人や知人の方のご紹介です。
「ぜひ、また荒井さんにお願いしたい。」
「とても丁寧にコーディネートしてくださったのでご紹介させていただきました。」
とおっしゃっていただけるのは本当に嬉しいものです。
ご依頼いただくインテリアコーディネートの内容は戸建住宅・新築マンションやリフォーム、オフィス・クリニック・サービス付高齢者住宅など様々ですが、どんなお仕事でも、ご連絡をいただいて最初に行うのは、ご要望と併せてご予算の概要・スケジュールをメールでお聞きすること。予算感や納期は重要事項です。
コーディネートフィーは物件のボリュームなどによりますので、お聞きした内容からこの段階でおおよその金額を提示しまして、ご検討いただきます。
ご了承いただきましたら初回打合せの日時を決め、ご自宅やカフェなどご指定の場所でお会いします。
ステップ2:初回打合せ
「はじめまして」から始まる初回打合せ。お客様も私も緊張しています(笑)
いきなり
「どんなインテリアがいいですか?」
「どんな色が好きですか?」
と聞いても、なかなかぱっとお答えいただけないもの。ご家族のライフスタイルや家族構成、ご職業、ご趣味、最近行った旅行先など様々なことをお聞きしながら、だんだんとインテリアイメージや具体的な内容に入っていくようにしています。
時間としては、だいたい1時間半~2時間ほどです。
お客様の本音を聞き出すヒアリングのポイントについては、次回に詳しくお話します。
現場調査(略して現調:げんちょう)もします。
図面がある場合は事前にメール添付でいただいておき、ない場合はその場で採寸をしていきます。
また、リフォームで設備・電気などの確認が必要な場合は業者さんに同行してもらうこともあります。
ステップ3:提案プラン作成
初回打合せ後、約2週間ほどお時間をいただき提案プラン及び見積を作成します。
まず、はじめにすることは打合せ内容からコーディネートの「コンセプト」を考えること。
よく「コンセプト」を“ナチュラル”や“エレガントモダン”などとしている方がいらっしゃいますが、それは「インテリアイメージ」です。
「コンセプト」はそこでどう過ごしたいのか、どう暮らしたいのかが見えるもの。
打合せでヒアリングをした中からお客様が何を求めているのかをくみ取って、ご満足いただける提案をする核になるものなのでとても大切です。
それをもとに、平面図・手描きパース作成やカラースキーム選定をし、提案プランをまとめていきます。

平面プランと同時にスケッチを描き立体的に考える
ステップ4:プレゼンテーション
2回目の打合せが、プレゼンテーションです。
提案プランをお客様にお話して、内容や金額などのご了解をいただくのですが、この時に心掛けているのは“説明”ではなく“ストーリー”になるようなプレゼントーク。
「ここにこの色のソファを置きます」
「これはこのメーカーのものです」
というのは“説明”です。
そうではなく、
「ご家族でこんな風にお過ごしになるのはいかがですか?」
「こうすることでこんなことができますよ」
という、その空間でどんな暮らしになるのかが見える“ストーリー”になるように。
トークの詳細についてはまた後日にお話しますね。
私のこのストーリープレゼンテーションは、提案内容をほぼ1発でOKいただいています。
その後、お客様と一緒にショールームをまわって現物確認をしまして(スケジュールが合わない場合はお客様だけで行っていただくこともあります)、プランの最終決定となります。

プレゼンテーション資料の一例

プレゼンテーション資料の一例
ステップ5:発注
家具・カーテン・照明・キッチン・オーダー家具などをそれぞれ発注します。
ステップ6:現場立会い
新築戸建住宅やリフォームの場合は、デザイン監理のため何度か現場に行き確認をします。
また、オーダー家具工事やタイル・壁紙施工工事、家具・カーテン・照明などの納品時には必ず立会いをしています。やはり現場に行くことでトラブルを早期に解決できたり、細かい部分まで確認ができますし、何より様々な業者さんや職人さんとコミュニケーションをとりながら進めることで、より良い空間になります。

戸建住宅 窓まわり採寸

リフォーム工事現場

オーダー家具納品立会い。時にはヘルメットを被ったり、自ら施工もします(笑)
ステップ7:完成
いよいよ完成です!
自分の頭の中で思い描いていたものが実際の空間としてでき上がるのは、何度経験してもワクワクします。
お客様に
「わぁ、イメージ以上の空間になりました。」
「荒井さんにお願いしてよかったです!」
とおっしゃっていただけるのは、『この仕事をしていてよかった!』と思う嬉しい瞬間です。
ちなみに、竣工写真は一眼レフカメラと三脚を持参して全て自分で撮影しています。

前掲のプレゼンテーション資料の物件の完成写真

前掲のプレゼンテーション資料の物件の完成写真
8.アフターフォロー
コーディネートが完了したら終わり、ではありません。
完了後もお客様と定期的に連絡をとり、不都合や気になることがないかを伺うようにしています。
毎年、残暑見舞カードを作成して送ったり、メールや電話をさせていただいたりもしています。
そうすることで、また思い出してくださって、それがリピートやご紹介につながっていくのです。
インテリアコーディネーターは住まいの「かかりつけ医」のようにクライアントに寄り添う仕事であると考えています。
いかがでしたでしょうか?
フリーランスのインテリアコーディネーターの仕事の流れが伝わりましたでしょうか?
次回は第2回「ヒアリング時のクライアントの本音の引き出し方とポイント」についてお話します。
お楽しみに!
これまでの連載記事
第一回 フリーランスインテリアコーディネーターのワークフロー(この記事です。)
第二回 顧客の本音を引き出すインテリアヒアリングとは?
第三回 ぶれないプランのキモ「コンセプト」とは?
第四回 人気インテリアコーディネーターが伝授!プレゼン資料作成のポイント
第五回 建物別インテリアプレゼン資料のポイント「マンション編」
2019年2月、私の著作が出版されます。
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この記事を書いたのは:荒井詩万氏
CHIC INTERIOR PLANNING 主宰
住宅やマンションのコーディネート・リノベーション、町田ひろ子アカデミー講師・大妻女子短期大学非常勤講師・各セミナー講師、イベント企画展示、空間プロデュース、TV・ラジオ出演、雑誌の企画監修などインテリアに関する様々な仕事をしております。