照度計の選び方~照度計アプリと照度計7機種の比較より~

照度計

アプリの照度計はどれぐらい精確なのか?

空間の明るさをどう設定するかは、その空間のイメージに大きく関係しています。明るさの単位「照度(lx)」を測る照度計は、無料のアプリから数十万円まで色々あります。数種類の照度計を比べて、その精度を調べてみました。

【 照度計にはクラスがあります】

照度計はその精度の違いで、精密級・AA級・A級の三つのクラスがJISで設定されています精密級は「研究室レベル」、AA級は「適合性評価などの測定」、A級「実用的」と記されています。建築インテリアではA級であれば問題ありません。
基準は幾つかありますが、重要な項目が二つあり、一つは人との目と同じ感度特性がどうか、もう一つは環境の光が受光部に充分入射しているかです。その他に、LEDの照度を測定はする場合にも注意が必要です。古い基準の照度計では、LEDのパルス式調光[PMW]に対応できず、低めの値が表示される場合があります。最新の照度計は仕様にLED対応と明記されています。

【照度計で測定してみました】

光源を幾つかの照度計で測定し、その精度を検証してみました。基準となる校正されている照度計T10をコニカミノルタよりお借りしました。コニカミノルタはその前身のミノルタ時代から照明業界ではよく使われており、信頼があるメーカーです。今回用意したのは以下の合計9製品です。日本の測定器メーカー照度計4点、1万から数千円の格安照度計3点、無料照度計アプリ2点です。

■国内メーカー
[1]コニカミノルタT10A[市場売価約100,000円]今回コニカミノルタからお借りした校正された照度計です。照明業界では昔から使われている定番の製品です。LED対応。AA級。
[2]セコニックC-700[市場売価約150,000円]照度だけでなく、色温度なども測れる分光照度計。LED対応。A級
[3]セコニックi-346[市場売価約16,000円]小型ですので持ち歩きには便利です。A級相当仕様です。前述の重要な二つの基準は適合しています。
[4]共立電気計器 5202[市場売価約16,000円]測定部と表示部が分離している製品です。
■格安照度計
[5]GA照度計[市場売価約5,000円]一体型です。測定部が回転します。生産終了しています。
[6]LX-1010B[市場売価約3,500円]測光部分離型の格安照度計です。
[7]TASI TA8121[市場売価約1,500円]一体型の格安照度です。
■アプリ照度計
[8]QUAPIX Lite[無料]岩崎電気が供給する、カメラ機能を使った、画像光のイメージを測定するアプリです。照度も表示できます。
https://www.iwasaki.co.jp/NEWS/release/2014/QUAPIX_Lite.html
[9]LUX Light Meter FREE[無料]カメラ機能を使った照度計アプリです。この他にも、同じ様なアプリはあるようです。
https://itunes.apple.com/us/app/lux-light-meter/id1171061436?mt=8
市場売価は目安であり、変動します。
照度計一覧表その1

照度計一覧その2

【測定結果】

当然ながら、金額が高い照度計や国内メーカーの照度計が精度が高く良い結果となっています。基準となるコニカミノルタT10Aとの数字の差[絶対誤差]とパーセント[相対誤差]を表にしました。照明器具は、工場照明などで使う大光量の製品で1パターン、明るさと色温度が変えられるスタンドで4パターン、合計5つのパターンで測定しています。それぞれの色温度と演色評価指数を記しています。
[A]工場照明:色温度5,000K:演色性Ra75:フル点灯
[B]スタンド:色温度3,000K:演色性Ra85:フル点灯
[C]スタンド:色温度5,000K:演色性Ra85:フル点灯
[D]スタンド:色温度5,000K:演色性Ra85:調光点灯
[E]スタンド:色温度6,000K:演色性Ra85:フル点灯
照度計測定結果
誤差が5%以下の優秀な製品は、セコニックC-700、セコニックi-346で、基準照度計のコニカミノルタT10Aを含め3点となりました。

共立電気計器5202も発売時期が古いですが、上記3製品に続いて精度が高い照度計です。GA照度計も優秀ですが、残念ながらすでに製造中止のようです。

他の2製品は10%から30%の誤差があり、業務に適しているとはいえません。

アプリの2種類は、測定条件によっては、大きな誤差があり。こちらも業務に適しているとはいえません。
スマートフォンのカメラは、照度計とは異なる構造で作られているので、照度を正確に計るのは基本的に難しい仕様になっています。
QUAPIX Liteは照度以外に様々な測定もできるので、照度の精度だけではこのアプリの評価は適切でないかもしれません。
QUAPIX Liteは別の機会に、より詳しい使い方をレポートしたいと思います。

この測定から判断すると、セコニックi-346が精度の高い製品のなかでは安価でバランスとれた製品と思われます。ただし、LED対応とは明記されていませんので、LEDに対応していて、より精度を求めるならは、信頼性のあるコニカミノルタT10Aになります。金額は最も高いですが、照度の他に色温度や演色性も計れるセコニックC-700は、LED時代の照明デザインに役に立つ照度計と思います。

【照度と明るさ感】

照度と明るさ感は同じではありません。目はとても優秀な器官で、明るさの調整を無意識にしています。記憶としての明るさは、実際の照度と異なる事が頻繁にあります。
照度と明るさ感の違いを理解するには、照度計をいつも携帯し、あらゆるところで計ってみることをお勧めします。
思ったより暗かったり、明るかったり、照度と明るさ感の違いがを感じることができます。

【目安とする照度】

照度は明るさ感とはちがいますが、照度は現時点では建築インテリアでの明るさの基準になっています。
よく参照されるのが、JISの照度基準(JISZ9110)です。この数字に必ずしも合わせることはありませんが、目安として考えると便利です。
住宅のリビング(JISでは団らんと表示)などは200 lx、読書や勉強などは500 lxから750 lxが維持照度とされています。
住宅の照度基準

【インテリアコーディネーターとして】

プロフェッショナルならば、有る一定度以上の精度のある機材を持つべきでしょう。精度が大きいと、おのずとインテリアデザインの精度にも影響してきます。
上記の誤差5%以下の、コニカミノルタT10AセコニックC-700セコニックi-346やこれと同様の精度の照度計を持ち、業務に生かすことをお勧めします。

著者:馬場美次(ばばよしじ)
造形作家・デザイナー
武蔵野美術大学彫刻学科卒業。照明器具メーカー、舞台照明機材メーカーなどを経て独立。馬場美次デザイン室代表。造形とデザイン業務に携わると共に、学校で照明デザインを講義。ライティングデザインスクール学長。

ライティングデザインスクールとは
照明デザインを学ぶスクールです。少人数教室で、現役のデザイナーや建築家が住宅や店舗のあかりをレクチャーします。東京と大阪に教室があります。
http://www.lighting-school.com

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