ドアノブだけでも山のよう?英国的インテリアリフォームの楽しみ方

英国流、家の購入からリフォームまで

ロンドンインテリア通信【第4回】

街を歩けばほとんど毎回と言っていいほど、リフォーム中の家を見かけることができる、それがイギリスです。

街を歩けば、このようなリフォーム中の家をあちこちで見かけます。

街を歩けば、このようなリフォーム中の家をあちこちで見かけます。

今回は、イギリス人が家を購入してからリフォームするまでの流れをざっと書いてみたいと思います。

今、日本ではたくさんの空き家が問題になっていますね。日本では、基本的に中古に対して前のオーナーがどんな人だったのかなどを気にする方が多いのも、空き家問題の一因かもしれません。もちろん、耐震対策もあると思いますが・・・。
一方、住宅のほとんどが中古物件で、しかも古ければ古いほど人気があるイギリスに長く住んでいるとよっぽどの事件などがない限り、前の住人のことなど、どうでもよくなってきます。

それよりも家のコンディションの方が心配です。なので家を購入するにあたって、売り手と買い手の司法書士と、不動産屋さんが話を進めていく中、家の「検査」というプロセスが必ず入ります。湿気や、虫の損耗や、構造上の瑕疵、あるいは近所に工場など立たないかなどの近隣状況まで調べてくれるのです。そのうえで、価格は妥当か、借入に問題ないかなどを全てクリアしてやっと売買が成立します。(検査をどこまでするかは物件や当事者によりさまざまですが、売買の当事者がしっかりとチェックするのはイギリス流です。)

以前、義姉が中古住宅(12世紀築元ファームハウス)を購入した際にもこの「検査」を行い、敷地内のバーン(倉庫)の屋根裏になんとこうもりが住んでいるのが見つかりました。

義姉の家の一部。左の建物がこうもりが住み着いていたバーン。

義姉の家の一部。左の建物がこうもりが住み着いていたバーン。

こうもりは保護されている動物なので、こうもりに気を使った?デザインに変え許可がおりました。こうもりの巣の辺りは、触らない、またこうもりがバーンから出入り出来る穴?も確保したデザインにしたんです。日本では考えられないエピソードですよね。

そんな感じで、中古物件の売買が盛んなイギリスですが、ほとんどの物件は、基本的にリフォームすることが前提です。
入居前に全てリフォームする方、住みながら少しずつリフォームする方とスタイルはさまざまですが。

さてDIY好きなイギリス人ですが、家全体をリフォームする場合は、ほとんど設計事務所にお願いします。家の一部を少しづつリフォームしたい方は、工務店や職人さんに施工の取りまとめ?をお願いします。子どもの頃から、実家、祖父母、友達などさまざまな家のリフォームを見て育ったイギリス人ですから、設計事務所や、工務店に自分たちのデザインイメージをしっかり伝えることができるんですね。

友人の旦那様がチェック中のキッチンパーツの資料。自分でしっかりとリサーチして業者に伝えるのがイギリス流。

友人の旦那様がチェック中のキッチンパーツの資料。自分でしっかりとリサーチして業者に伝えるのがイギリス流。

そしていずれの場合でも、責任感があり、ちゃんとした仕事をする、信用できる設計事務所、工務店を、家族、知人の推薦などで探します。日本ではびっくりされると思いますが、来たり来なかったり、なかなか仕事が進まない、いい加減な仕事で終わらされたなど、とほほな業者も少なくないのです。なので、日頃からこういった工務店、職人さんについての情報交換もイギリスでの日常会話の一つだったりします。

腕がよくて責任感がある工務店や職人を自分たちで探すのも、イギリス流リフォームの基本事項なのです。

腕がよくて責任感がある工務店や職人を自分たちで探すのも、イギリス流リフォームの基本事項なのです。

さて、日本ではリフォームのインテリアデザイン、インテリアコーディネートはプロに依頼される方がほとんどだと思います。DIY好きが多いイギリスでもプロに依頼する人もいらっしゃいます。

プロにお願いすることによって、仕上がりの出来はもちろんですが、どんどん進化するデザイン、素材、技術などの紹介、また、それぞれの職人さんたちを取りまとめてくれるなどのメリットは大きいと思います。

でも、イギリスでポピュラーなのは、プロには工事のみを依頼し、素材選びなどはクライアントが選定し買い付けるというパターン。

タイル、キッチンパーツ、ユニット、床など全て自分たちで見つけ出してくるのです。

インテリアに熱いのがイギリス人。-全体のデザインイメージを大切にしながら細かいデティールまでこだわります。例えば、ドアノブがシルバークロームならスイッチ、コンセント部分も全てシルバークロームに統一。フォームも合わせたり、部屋に飾る予定の絵に合わせ色、質感などを決めていったり。

ドアノブやスイッチのお店’には、クロームパーツだけでもたくさんのデザインや色合いを取り揃えています。イギリス人はこういったお店でじっくりと品定めをするのです。

ドアノブやスイッチのお店’には、クロームパーツだけでもたくさんのデザインや色合いを取り揃えています。イギリス人はこういったお店でじっくりと品定めをするのです。

そんなイギリス人のインテリアのこだわりがよくわかるエピソードを一つご紹介します。以前、私のクライアントに、ブラインドのストリングをかけるパーツで気に入るものが見つからない、という方がいらっしゃいました。どうしても既製品で気に入るものがなかった彼ら、とうとう鉄の職人?にオーダーメイドして一点もののパーツを作らせました。

日本だと設計事務所、工務店がパーツ、素材などをいくつか用意して選んでいただくというのが多いと思いますが、それではイギリス人は納得しないのです。10軒あれば10通りのインテリアのイギリス。前述のようにオーダーメイドしてまで細かいパーツにこだわったりするイギリス人。初めにクライアントの希望を詳しく聞いて、こちらで探すということもありますが、その場合は、山のような種類から探し出します。なので、日頃から展示会などに行って情報を収集することは大切だと思います。

イギリスには、ドアノブだけの専門店があります。まさにドアノブの山から、お気に入りの1点を探すのです。

イギリスには、ドアノブだけの専門店があります。まさにドアノブの山から、お気に入りの1点を探すのです。

さて、リフォームが日常のようなイギリス人は、工事中、どうやって暮らしているのか? 経済的に余裕があれば、リフォーム中は賃貸に住みますが、部分リフォームなら住みながら工事することが多いです。実は、我が家もこの住みながらの工事、経験ありますが、結構これ、きついです・・・。特にキッチンリフォーム。ほとんど毎日 外食か電子レンジのお世話になることになりますし、毎日 ほこりがすごいのです・・・。でも、「これが終わればすてきなインテリア!」と自分に言い聞かせながら過ごした覚えがあります。

リフォーム中の友人の家のキッチン。施工しながらの生活はなかなか大変なのです。

リフォーム中の友人の家のキッチン。施工しながらの生活はなかなか大変なのです。

こんな苦労もしながらやっとリフォームが終わっても、何年か経つと、また どこかを改造・改装・・・、それがイギリス人です。

壊れていなくても・・です。何年か経つとインテリアもだんだんまた寂れた感がでてきたのでリフォームするとか、子どもたちの成長に合わせ子ども部屋の模様替えでリフォームするなど。

洋服の好みが変わるようにインテリアの好みも変わって当然。年齢も重ね、また 子供たちも成長し、メインテナンスだけではなく、家族の成長と共に少しづつでもインテリアも変わっていく。そんな風に、家に対する愛着が熱いのがイギリス人。

イギリスの家って幸せものだなあとつくづく思います。いつも、住人に思われて。

そのお手伝いを仕事にしている私も幸せものですね。

 

Kozue GanerKozue Ganer
Misty Interior www.mistyinterior.com
インテリアデザイナー、ソフトファニシング デザイナー。 ロンドンにて、バイヤー、インテリアデザインコンサルタントとして活躍中。

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