Kozue Garnerのロンドンインテリア通信【第一回】:「イギリスの住宅事情とイギリス式リフォーム」

ロンドンインテリア通信【第一回】

日本生まれで英国在住、ロンドンでソフトファニシングデザイナーとして活躍しているガーナー こづえさんが、ロンドンのインテリアの「今」を伝える楽しいレポートです。
記念すべき第一回は、ロンドンっ子のインテリアに対する思い入れとインテリアショップについて紹介していただきます。


お隣の南米手長ザルのウホウホという鳴き声で目を覚ますのが日常だった幼少期を神戸で過ごし、ワーキングホリデーでオーストラリア一年間、イギリス人の夫の仕事について西アフリカ ガーナで約二年間を経て、今はロンドン歴18年です。
初めまして。ガーナー こづえと申します。
こんな私がロンドンからお届けするゆるゆるなインテリア通信。よろしくお願い致します。

【わたしについて】

私は現在、ロンドンでインテリアの仕事をしていますが、実は日本はで全く業界経験がありません。
そんな私がどうして?とよく聞かれます。
思えば、母が洋裁をしていて、子どもの頃から布に囲まれた毎日でした。そんな母の影響もあるのか、子どものころから布が大好きでした。
前述の通り、ガーナからロンドンに戻り、フラット(日本で言うところのマンション)購入後、カーテンが必要になりました。
義母に勧められて、イギリス流にカーテンを自作することに。本を頼りに見よう見まねしたが、その作り方にびっくり。さらに布を買いに行ったデパートでのインテリア生地の売り場の広さ、豊富さにもびっくり。

広大なカーテン生地売り場

広大な売り場には多種多様なカーテン生地がびっしり並んでいます。

イギリスでは、こういった布のインテリアはソフトファニシングと呼びます。この、ソフトファニシングの魅力に取りつかれ、すぐに地元カレッジのソフトファニシングのコースに入学。
途中、二人目の子供の出産、育児で中断がありましたが、計5年通い、Cuty&Guild, Diploma(英国の職業教育機関による技術レベル認定)を取得し、卒業後、個人事業としてMisty Interiorを始めて8年が経ちました。

【イギリスの住宅事情】

今回はイギリスのインテリア事情についてざっくりとご紹介しましょう。
まずは、住宅について。
イギリスの場合、ほとんどの家は日本で言う中古物件。日本に比べて台風や地震などの自然災害が少ないこと、また構造的な違いもありますが、築100年以上はザラです。もちろん新築物件もありますが、ほとんどのイギリス人には古いジョージアン、ビクトリアン、エドワリアンなどの様式が人気です。それらの中古物件購入後、自分たちのスタイルに合わせてリフォームしていくのがイギリス人の住まい方です。

ビクトリアン様式のフラット。

ビクトリアン様式の邸宅。

住みながらリフォームを少しづつする方、いきなり全部リフォームする方、設計事務所にデザインをお願いする方、自分たちで職人さんたちにデザインを伝えリフォームしてもらう方、自分でする方などなど、リフォームの方法はそれぞれですが、共通するのは、ほとんどの方が、自分なりのデザインイメージをしっかりと持っていること。
イギリスでは、テレビでもインテリア、建築関係の番組は多く、インテリア雑誌の数もファッション誌に負けてません。子どもの頃から親たちが素材を選びながらリフォームしていく中で育ったイギリス人は、建築、インテリアへの意識、知識が高いのです。

ママ友たちとのカフェでの会話でも、リフォームについての話やいい職人探しの話題などが、しょっちゅう交わされています。かばんやファッションの話より家の話のほうが多いかも・・・。

ママ友たちとよく行くカフェの様子。

ママ友たちとよく行くカフェの一つ。

今 流行っているのは、地下を掘ってシネマルーム、スペアルームを作ることです。この場合、ほとんどは地下室専門の会社に頼みます。あと、屋根裏部屋(ロフト)専門、キッチン専門などなど。特定個所専門の会社がたくさんあるんですよ。
もちろん、設計事務所もあります。古い物件、特にグレード2に指定された物件はリフォームに関して、いろいろな規制があり許可が必要ですが、これらの設計事務所、専門会社ではこういった申請もやってくれます。

【イギリス式リフォームの考え方・やり方】

イギリス人が改装を考えた時(イギリス人は常時住まいについては考えていますが)、まず自分たちでリサーチとサンプル集めをします。
大型ホームセンター、カーテンなどを扱うインテリアショップ、タイル専門店、床材、カーペット専門店などなど、インテリア関係のお店のあり方はさほど日本とは変わりませんが、違うのは商品の種類の豊富さとサンプルの入手のしやすさです。
カーテンの布地などはもちろんのこと、ペンキ、床、カーペットなども簡単にサンプルが入手できます。

多種多様なタイルのサンプル。

多種多様なタイルの有料サンプル。1枚130円ぐらいからありますが、このお店はちょっと高めで1枚約1,000円。
それでもロンドンっ子はみんな、数枚購入して家に持ち帰って検討します。

ロンドンインテリア通信【第一回】

ずらりと並んでいるのはなんとペンキの色見本。これは誰でも持ち帰れるようになっています。

ペンキの種類もハンパない数です。

ペンキの種類もハンパない数です。

サンプルを持ち帰り、リフォームを考えている部屋に置いたり、塗ったりして家族全員で検討します。
ここで大事なのは、「家族全員で」ということ。子どもも含めてリフォームを検討するんです。イギリス人は、こうやってインテリアを学んでいくんですね。
そして、設計事務所、専門の会社、または職人さんに直接、この色でこのタイルで・・と自分たちのイメージ、希望を伝えます。
職人というのは、壁紙屋さん、ペンキ屋さん、電気技師、水道関連、左官屋さん等。
こういった職人さんたちと直接やり取りして改装する人が多いのもイギリス式です。

【ソフトファニシングという仕事】

10軒あれば、家の中は10通りのイギリス。外は同じに見えても、家の中の間取りやインテリアがそれぞれ違うイギリス。それぞれの個性が空間に表れています。
私の場合、ソフトファニシング、カーテン、ブラインド製作が本業ですが、空間デザインも承っています。
クライアントはほとんどイギリス人、ヨーロッパ系です。ご依頼を頂いた時点で彼らは、もう自分たちのデザインイメージをしっかりと持っています。私は、彼らのイメージに寄り添いながら、Misty Interiorとしてのデザインをプロフェッショナルとして提案させてもらっています。
作り方は、カーテン、ブラインド等はイギリス伝統的な手縫いです。
表に縫い目が目立たないよう糸一本すくって縫います。あと、必ず裏地付き。必ずではないですが、表地と裏地の間にインターライニングという中綿を入れる場合もあります。

イギリス式カーテンの一例。

イギリス式ウィンドウトリートメントの一例:ローマンブラインド

隙間風対策もありますが、中綿が入ることにより見た目もエレガントさが増すのです。
オーダーで来られる方のほとんどは、この伝統的な手法を好まれます。ミシン線が表に出るのは、どうやら安っぽく感じるみたいです。
日本人の着物に対する考えに似ているかなとも思います。
このようにデザインや製作方法にこだわるのがイギリス人ですが、素材にもこだわりがある方は多いです。最近は、Sustainability, 限りある地球資源、環境を考え土に戻れる自然素材、木、綿など、また節約と考えるよりは、地球の限りあるエネルギーをなるべく使わないようにするアイデアなどにも関心があります。

衣、食にはゆるゆるタイプが多いイギリス人ですが、住まいには力が入ります。
こんな住まいに力が入るイギリスから、また レポートしますね。

2015-10-14 11Kozue Ganer
Misty Interior www.mistyinterior.com
インテリアデザイナー、ソフトファニシング デザイナー。 ロンドンにて、バイヤー、インテリアデザインコンサルタントとして活躍中。

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