【トイレインテリアコーディネート入門】第四回:スタイル別トイレのカラーコーディネート

トイレのインテリアコーディネート入門第四回

 

前回は、ナチュラルをベースにトイレのコーディネートについて解説しました。今回は、それ以外のイメージスタイルに挑戦します。作例は、私の研究室の学生に自由な発想で提案してもらいました。トイレをコーディネートする場合、スタイルよって難易度が異なります。ナチュラル・モダン・カジュアルは比較的容易ですが、キュート・エレガントは生活感が乏しく、また照明や家具などのエレメントがスタイルに適したものが少ないのが難点といえます。
※学生のプランニングは3DインテリアデザイナーNeoシリーズを使用しました。

【モダン】
トイレに必要な機能を集約した空間(右)に、ゆとりの空間(左)をプラスして、居心地の良いトイレを計画しました。全体にモダンな色や素材でまとめ、左側の壁の足元に低い窓と、入り口に向かって光が入るように奥の壁に縦長の窓を設け、明暗に変化をつけました。また床は右側の黒いタイルに対して、左側に白い砂利を敷いて質感と色の対比を強調しました。

モダンスタイル(制作:高橋 昂星)

モダンスタイル(制作:高橋 昂星)

コメント:モダンは、モノクロをベースにシャープな形状でまとめ、ビビッドな色でアクセントをつけます。便器色はホワイトが適切です。モダンは取り組みやすいスタイルですが、硬い冷たいイメージになりがちです。この例のように床の素材を変えることで、そうなるのを抑えています。

【アジアン】
普段生活しているスペースとギャップを作るため、トイレはアジアンな雰囲気にすることにしました。空間に自然素材を多くとりいれ、カラーもアジアンテイストに統一して、ダークな色や草木などの自然素材で染めた色などで落ち着いた雰囲気にし、トイレでゆったりとすごせる空間にしました。

アジアンスタイル(制作:清水 海来)

アジアンスタイル(制作:清水 海来)

コメント:ドアを開けたら別世界とは、おもしろいコンセプトです。いい雰囲気に仕上がっています。ただそのコンセプトを活かすのであれば、アジアンらしくもう少し装飾的でカラフルで華やかなイメージにしてもよいでしょう。ややおとなしく重厚な感じにまとまっています。便器色はパステルアイボリーが最適です。

【カジュアル】
「小さな子供部屋」をコンセプトに、子連れが多いデパートなどにあるトイレを想定してデザインしました。カジュアルらしく華やかな雰囲気にまとめました。また、空間を大きく見せるため部屋の形を多角形にし、便器の背の壁一面にオレンジの大柄な花柄を配置して奥行き感を出しました。

カジュアルスタイル(制作:古川 紫織)

カジュアルスタイル(制作:古川 紫織)

コメント:カジュアルらしい楽しい雰囲気がでています。便器の色は、ホワイトよりもパステルアイボリーの方が雰囲気に合います。絵や鏡は子供のためにもっと低く取り付けます。奥行き感が出ているかどうかは疑問ですが、大きな柄の壁は、空間を引き締めています。

【キュート】
入ったお店のトイレがちょっといつもと違ったら少しわくわくしませんか。トイレでキュートが味わえるのも貴重な体験でしょう。淡いピンクを基調に白や花柄を加え可愛さを表現しました。驚きと安らぎを感じていただけたら成功です。

キュートスタイル(制作:清水 海来)

キュートスタイル(制作:清水 海来)

コメント:キュートは、男性が挑戦するとだいたい失敗しますが、この作品は比較的成功しています。壁紙の選択はいまひとつです。ピンクをベースにした細かい花柄を選んだらよいでしょう。巾木は高さを低くしもっと明度を上げ、床はオフホワイトにした方がより可愛い感じが強調されます。便器色はパステルピンクが適しています。

【和】
「凛としたトイレ」をコンセプトに、凛々しい表情を最大限に表現しました。余計なものをあまり置かず和の香りを全面的に出してみたのがポイントです。思わず時を忘れてしまうようなひとときを過ごせる空間にしています。

和スタイル(制作:下麥 隼利)

和スタイル(制作:下麥 隼利)

コメント:和のもつストイックなイメージが表現できています。照明に高さの変化をつけているのも効果的です。便器色は、パステルアイボリーまたはホワイトグレーまた選びます。

【シック】
家族だけでなく家に訪問した人にとっても居心地のよい空間となるようにデザインしました。トイレ内に手洗いと大きな鏡を設置し、ティッシュなども用意し、お客様が化粧直しなどをできるようにしました。また清潔感を出すために床材や天井、ドアは白、壁は薄い青色を配色しました。棚の赤はアクセントカラーになっています。また、家族も長居したくなるように本棚を設置しました。

シックスタイル(制作:堀田真帆)

シックスタイル(制作:堀田真帆)

爽やかなシックな雰囲気は出ています。廻り縁や巾木は強調されすぎているので、ホワイトか家具の色に統一したほうがよいでしょう。壁の基調色はもう少し紫に寄せた方がよいでしょう。便器色はホワイトグレーが適しています。

【クラシック】
「海外の高級ホテルのロビーラウンジ」をイメージしてデザインしました。床は大理石を敷き、壁紙や家具は暖かく重厚感の出るものを選びました。置物や絵画も飾り、ゆったりと時間を忘れて過ごせるような空間にしています。

クラシックスタイル(制作:土屋 美景)

クラシックスタイル(制作:土屋 美景)

概ねクラシックなイメージはできています。壁には腰を設けるべきです。床は木質系の濃い色の材料の方がよいでしょう。フロアスタンドはもう少し重厚なデザインのものを選びましょう。適した便器色は既成色にないのですが、無理に選ぶとすれば、パステルアイボリーかホワイトになります。

【エレガント】
「落ち着きのある華やかな女性のためのトイレ」をコンセプトに、女性がいつもとは違った雰囲気を装い、いつもとは違った気持ちで過ごすことのできる、そんな特別感のあるトイレをデザインしました。一室を広々とした空間にし、トイレの機能以外にメイクアップ、フィッテイングも同室で同時にできる女性のための空間となっています。落ち着きと華やかさを与え、普段とは少し違う自分になれるトイレにしました。

エレガントスタイル(制作:若狭 里歩)

エレガントスタイル(制作:若狭 里歩)

エレガントは、イメージスタイルの中で一番難しいスタイルです。淡く、やさしく上品なイメージにまとめる必要があります。全体をクールな色調にまとめ、塗装は木目を出さずに仕上げます。この作品では、エレガントなイメージに近づけようとしている努力が伺われますが、いくつか気になる点があります。家具の形状が直線的ですので、曲線的で繊細な装飾が施されたものに変える必要があります。洗面器も曲線的な形状のものを選んでください。壁は腰を設ける必要があります。便器色はホワイトグレーを選びます。

【関連記事】

【トイレインテリアコーディネート入門】第一回:歴史的アプローチ
【トイレインテリアコーディネート入門】第二回:トイレの基本(トイレインテリア計画に必要な基礎知識)
【トイレインテリアコーディネート入門】第三回:トイレのカラーコーディネート(トイレのインテリアに関する特殊性を考慮する)

 

著者:河村容治

著者:河村容治(かわむらようじ)
東京都市大学 都市生活学部教授
博士(美術)、一級建築士、日本インテリア学会理事 CAD/CGによるインテリアデザイン教育に力を注ぐ。

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