インテリアコーデネーターこそ製品を企画しよう!「あったかお風呂あったカーテン」:顧客から生まれた特許取得製品の開発秘話!

新宿パークタワーにある「大成建設ハウジング」のお風呂の窓のショウルームにて展示中。

特許も取得した風呂窓用遮影カーテン「あったかお風呂あったカーテン」を開発販売している、インテリアコーディネーターの中山瑞穂さん(株式会社メリーポピンズ)から、オリジナル製品を開発できた経緯と開発時に留意すべきポイントについて解説していただきました。
インテリアコーディネーターは、住まいの「困った」を一番身近に知ることができるプロフェッショナル。そして「必要は発明の母」といいます。顧客の不便のニーズを知り、プロの知識で解決策を考えれば、ユニークな製品開発につながるという好事例です。

中山 瑞穂 株式会社メリーポピンズ代表取締役 インテリアのリフォーム・リノベーションに携わるほか、カーテンの製品企画・販売も手掛ける。 エレガントテイストのコーディネートが持ち味。主婦同士の日常会話から生まれたアイデア商品 「風呂用遮影カーテン」をはじめとするオリジナルカーテンの企画も行っている。

中山 瑞穂さん
株式会社メリーポピンズ代表取締役
http://www.merry-poppins.com/
インテリアのリフォーム・リノベーションに携わるほか、カーテンの製品企画・販売も手掛ける。
エレガントテイストのコーディネートが持ち味。主婦同士の日常会話から生まれたアイデア商品
「風呂用遮影カーテン」をはじめとするオリジナルカーテンの企画も行っている。

私の仕事は、リフォーム・リノベーションのプランニングとインテリアデザインを主軸としておりますが、もう一つの柱として特許取得商品である「風呂窓用遮影カーテン」の企画開発・販売も手掛けています。
今回は、私どものような小さな会社が、どのようにして特許まで取得できたオリジナル製品「を開発販売できたのかについて、お話しいたしましょう。

1、お客様の一言から普遍的なニーズを発見

内装リノベーションの仕事をしていると、お客様から家の困りごとについてよく相談を受けます。
それは今から10年前のこと。あるお客さまのキッチンとリビングをリノベーションしたいた時です。

「お隣のお風呂の窓が内うちから見えるんだけど、窓にカフェカーテンを掛けているの。でも、あれだと入浴中の影が映ってイヤよね。影の映らないお風呂の窓用カーテンって無いかしら?」

こんな相談を受けました。

薄手のカーテンだと、入浴中の影が外から見えてしまいます。

薄手のカーテンだと、入浴中のシルエットが外から見えてしまいます。

私自身、自宅のお風呂の窓にはブラインドを掛けていましたが、羽根が折れたり、カビがついたりでメンテナンスが大変でした。まさに私もお風呂の窓用のカーテンが欲しいと思っていたところでした。

★オリジナル商品開発のポイント
「お客様の声の中に大きなヒントがあると心得て、いつも心にアンテナを立てておく」

2、お風呂の窓用カーテンの条件とは

お風呂というのは他の居住区感とは著しく環境が異なる場所です。なので、その窓用のカーテンも通常のカーテンとは違って、下記のような条件が必要です。
a)    入浴中の影が映らないこと(遮影性)
b)    湿度の高い場所なので、カビがつきにくいこと(防カビ性)
c)    シャワーなどで水がかかっても弾くこと(撥水加工)
d)    お洗濯できて清潔に保てること(ウォシャブル)
e)    釘を使わず女性でも簡単に取り付けられること(簡便性)

さっそくこのような条件を満たすカーテンを探して、デパートはもとより、ホームセンターから雑貨屋さんまで様々なお店を探してまわりましたが、予想に反してすべての条件を満たすものはどこにもありませんでした。

★オリジナル商品開発のポイント
「『そんなの無理かも』という心のハードルを取り払い、必要な条件を考えてみる」
「必要条件を考えたら、自分の足で該当製品を探してみる」

3、無いのならそれはチャンス、作ってしまおう

ニーズは絶対にあるのに、適合する製品がないのなら、これはビジネスチャンス!
ということで、「無いのなら私が作ろう!」と決意したのです。

スタートはカーテン用の生地探しから始まりました。
「生地の産地なら福井だよ」

知人からそう教えられたので、福井の商工会議所に連絡して生地関連の工場のリストをもらい、片っぱしから電話してみました。コネも紹介も無しでしたが、「これは社会の役に立つ」という確信がありましたので、使命感に燃えていたんですね。ところが、

「遮光の生地に、防カビ・撥水加工できませんか?」

という私の質問に

「は~~?全く意味が分からない。」

と門前払いされたり、

「うちは3000mからの受注です。」

といわれたり。3000mって、50m巻きの反物が60本ですから、とてもそんな在庫はできませんし、資金だってありません。風呂窓用遮影カーテンの開発はスタートから暗礁に乗り上げてしまいました。

4、あきらめなければ道は開ける

福井県の生地工場との交渉が不調に終わりましたが、頭の中にはいつも「お風呂の窓のカーテン」の事がありました。そんな折、ビックサイトで開催されていた「産業技術展」に東京都の技術試験所がブースを出していることを知り、何か情報があれば、と訪問してみたのです。布試験ブースの方に「遮光の布に、防カビ・撥水加工できる工場ありませんか?」と質問すると「ああ、多摩にあります。」という答えが返ってきたではありませんか!灯台元暮らし!以外にも近くに糸口はありました。
しかし、福井の一件がありましたので、紹介された会社に電話した時の第一声は

「布の注文ですがいきなり3000mは頼めません。まず遮光の布に、防カビ・撥水加工された試作品をつくりたいのです。」

というもの。
ドキドキしながら先方の声を待っていると、

「弊社は小さな仕事も大切に思っているので1反からでも結構です。」

とおっしゃってくれたのです。感激で涙が出ました。ついに最初の一歩を踏み出せたのです。

「あったかお風呂あったカーテン」の実際の遮影性能。

「あったかお風呂あったカーテン」の実際の遮影性能。

★オリジナル商品開発のポイント
「簡単にあきらめないこと、常に前に進むきっかけを探しつづけること」

5、商品をブラッシュアップ

カーテン生地の試作品はお風呂用遮影カーテンについてのすべての条件を満たすもので、ここに製品化の道は開けました。次に重要なのは、この製品をどうやって世の中の人に知ってもらうかです。

製品化された「あったかお風呂あったカーテン」

製品化された「あったかお風呂あったカーテン」

宣伝広告費などはなかったので、広報活動で広く知ってもらうことを計画し、100社を超える新聞・雑誌社にプレスリリースを出しました。
メディアにプレスリリースを出すというのは素人や個人規模では無理、と思っていらっしゃる方が多いかもしれません。でも実は、書き方のコツ、出し方の手法を知れば誰にでも出せるんです。そして、情報にニュース性があれば、有名な雑誌や新聞に無料で製品やサービスを紹介してもらえるのです。プレスリリースの送り先であるのマスコミの住所や電話番号は「マスコミ電話帳」という本を買えば手に入ります。
私は、社団法人発明学会の日曜学校に通って、そのことを知りました。
「風呂窓用遮影カーテン」はオリジナリティが認められて、25社の新聞・雑誌に新商品として掲載していただけました。有名なところでは「オレンジページ」や「日刊工業新聞」にも掲載されました。
そして、この「日刊工業新聞」の生地を読まれた高島屋通販のバイヤーさんから連絡が入り商品を販売していただけることになりました。高島屋通販では今でも販売していただいてます。

広報活動で手ごたえを掴んだので、次は、ビックサイトで開催される「JAPANTEX」にイベント出展することにしました。
JAPANTEXはインテリアコーディネーターという仕事柄、いつも視察に行っていましたし、内装デザインはお手のものですから、自分でデザインしたブースを日ごろ付き合いのある職人さんに作ってもらいました。
また、発明学会の中本先生の薦めで出展の前に特許を出願しておきました。特許取得には時間がかかりましたが、先生の助言もあって特許を取ることができました。

あったかお風呂あったカーテンは特許を取得しています。

あったかお風呂あったカーテンは特許を取得しています。

「JAPANTEX」の出展は会場の片隅の小さなブースでしたが、1日200人、3日で600人の方に来ていただけました。その時に東急ハンズのバイヤーさんの目に留まったことがご縁で、約1年の交渉の後に、池袋・新宿・横浜・江坂・心斎橋・三ノ宮の各店舗で販売していただけることになりました。
(現在は販売を終了しています。)

近年では、新宿パークタワーにある「大成建設ハウジング」のお風呂の窓のショウルームに展示してもらっています。

新宿パークタワーにある「大成建設ハウジング」のお風呂の窓のショウルームにて展示中。

新宿パークタワーにある「大成建設ハウジング」のお風呂の窓のショウルームにて展示中。

現在、柄も7色になり、販売か所は当初から続いている「高島屋通販」。ネット通販では、楽天・ヤフーお風呂専門サイトの「バスリエ」と、自社のHPで販売しています。

★オリジナル商品開発のポイント
「スタートは広報活動で、手ごたえがあれば攻めのPRを」

6、開発時には想定していなかった機能で社会貢献も

商品が完成してお風呂の窓に実際に掛けてから分かったことですが、冬場でも浴室が暖かいのです。
カーテンを掛けることで窓とカーテンの間に空気の層ができ、それが断熱となって寒気をお風呂の中に入れにくいことが分かりました。

窓から逃げていく熱も、あったカーテンにより断熱できます。

窓から逃げていく熱も、あったカーテンにより断熱できます。

入浴中の急死は年間1万7千件もあって、そのほとんどが冬場、浴槽と浴室の温度差のヒートショックによる心筋梗塞や脳梗塞だそうです。(出典:東京都健康長寿医療センター研究所)
冬の浴室の保温を保つ「あったかお風呂あったカーテン」はヒートショックによる事故防止に貢献しています。

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