インテリアもリアルに体感!建築プレゼン用VR最前線レポート

建築用VR(バーチャルリアリティ)

2016年も間もなく終わろうとしているが、今年話題をさらったデジタル機器No1は間違いなくVR(バーチャルリアリティ)だろう。
3月にVRヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」が発売。続いてHTC VIVEがリリースされ、VRヘッドマウントディスプレイの2大本命として注目された。
そして10月には満を持して出荷開始されたPlaystation VRは大好評で品薄状態が続いている。
このようにハードウェア面では豊作だったVR市場だが、残念ながらコンテンツが追いついていないのが現状だ。
手軽にVRを楽しめる環境は整いつつあるが、それで何を楽しむかが次の課題である。
コンシューマー市場においてはゲームやバーチャルトリップなどの体験型のコンテンツが期待されているが、業務用の分野では進化したシミュレーションシステムとして注目が集まっている。
その中でもいち早く市場に投入されているのがインテリアや建築用のシミュレーションシステムだ。
今回は、建築向けVRシステムを開発・販売している株式会社シーピーユー、福井コンピュータアーキテクト株式会社、メガソフト株式会社に、最新動向と今後の展望について取材した。
(編集部 西脇 功)

CPUロゴ

株式会社シーピーユーは建築3次元CAD「MADRIC・AD-1」を開発・販売しているソフト会社だが、MADRIC・AD-1のデータをVRで閲覧できる仕組みが「パノラマCGクラウド」だ。
MADRIC・AD-1で作成した間取りデータからVR化したい部屋を選んでパノラマCGクラウドサーバーにアップロードするだけで、パノラマデータが作成できる。このデータを市販のスマホ挿入型VRゴーグルで閲覧するという方式だ。

パノラマCGクラウドパノラマCGクラウドとみるボックス
閲覧するデータは3次元CADのデータを元に生成されたパノラマ画像であり、奥行きを伴っているわけではないが画面内にあらかじめ設定された矢印に視点を合わせることで擬似的な移動は可能だ。
パノラマCGクラウドの最大の利点はWebブラウザベースであるということだ。専用アプリケーションが不要なので、パソコン、スマホ、タブレットなどの環境を選ばない。なにかをインストールさせることもないので、URLを伝えるだけで、どこでも誰でもすぐにVRシミュレーションを閲覧できる。
パノラマCGクラウドのWebページには、スマートフォンで閲覧できる用に、下記のサンプルデータの二次元バーコードが掲載されている。

パノラマCGクラウド用サンプルデータ二次元バーコード

パソコン用のサンプルデータも掲載されているので、興味のある方はパノラマCGクラウドのWebサイトをチェックしてほしい。

データ内に説明用テキストや特定のWebページにジャンプできるURLを仕込むこともできる。(※パノラマモードで利用できる。VRモードでは非表示になる。)
パノラマCGクラウドは2年前にリリースされ、2015年末にVRモードが追加された。建て主が持っているスマホで簡単にVRシミュレーションを見てもらえる、ということでMADRIC・AD-1ユーザーである工務店やハウスメーカーの評判は上々とのこと。同社では、2016年に入ってハイエンドVRヘッドマウントディスプレイの発売が開始されたことを受けて、Oculus Riftを使用した本格的なVRの対応も進めているとのこと。

パノラマCGクラウドのWebサイト:http://www.cpu-net.co.jp/ad1/app_list/panorama.html

一方、Oculus RiftやHTC VIVEに対応したVR製品をいち早くリリースしたのが福井コンピュータアーキテクト株式会社である。

福井コンピュータアーキテクトロゴ

ARCHITREND VR

同社は3D建築CADシステム「ARCHITREND ZERO」の開発販売を手がけている。ARCHITREND ZEROで作られたCADデータを瞬時にVRコンテンツへ変換し、ストレスなくVRの世界へ導くのが「ARCHITREND VR」だ。
Oculus RiftやHTC VIVEで閲覧することにより、奥行き方向や高さ方向をもったバーチャル空間を体感できる。
HTC VIVEならルームスケール機能の範囲内でVR空間を歩き回ることが可能だ。

HTC VIVEならバーチャル空間を歩き回れたり、触れたりできる。
付属のコントローラを使えば任意の位置にジャンプしたり玄関からリビング、キッチンへと歩行して移動できるほか、システムキッチンの高さを手で触れるような感覚で確認できる。

HTC VIVEは手に持つタイプのコントローラに振動でフィードバックがくる。

HTC VIVEは手に持つタイプのコントローラに振動でフィードバックがくる。

2階から吹き抜け越しに1階を見下ろせば足が竦む感覚が体感できてまさに家の中にいるような感覚で没入できる。

高さを感じられるのもVRならではだ。

高さを感じられるのもVRならではだ。

ARCHITREND ZEROの構造設計機能で作成した木構造をVRで閲覧すれば、工法などを確認してもらえるため、バーチャルな構造見学会も開催可能だ。

これから建つマイホームの構造もリアルに確認できる。

これから建つマイホームの構造もリアルに確認できる。

他では見られない住宅模型モードも面白い。「空間内に入り込める」というのがVRの利点だが、住宅模型モードでは発想を逆転して、3Dデータを実物大ではなく縮小して表示させ、VR空間内で住宅模型のようにして見ることができる。いわゆる鳥瞰図のように、斜め上方から建物全体を俯瞰できるほか、任意の箇所で「輪切り」にしてカットウェイモデル的に確認するのも楽しい。

模型モードなら好きな位置で住宅模型をカットするようにして見ることができる。

模型モードなら好きな位置で住宅模型をカットするようにして見ることができる。

ARCHITREND ZEROとARCHITREND VRがあれば、プラン提案、建築設計、構造見学、完成予定のマイホームのバーチャルツアーがワンストップで実現できる。

ARCHITREND VRのWebサイト:http://archi.fukuicompu.co.jp/products/architrendvr/

そして、最新の建築VRシミュレーション製品として登場したのが「メガソフトVRソリューション」だ。

メガソフトロゴ

メガソフト株式会社は10月にVR対応製品として「メガソフトVRソリューション」を発売した。

メガソフトVRソリューション
建築用VRシステムとしては後発になるが、それだけに他社とは違うアプローチであるところがユニークだ。
それは「VR専用データ」を必要としないこと。他の二社が3D CADソフトのデータをVR閲覧用に変換して使用するのに対して、メガソフトVRソリューションでは、3Dソフトで作成したプランをそのままVRヘッドマウントディスプレイに出力する方法を採用した。

メガソフトVRソリューションを体験中の人
住宅モデルを緻密に作り込んだり、家具やカーテンなどインテリアコーディネートを充実させるとデータ容量が大きくなり、高性能なパソコンが必要となるが、VR空間を体験してもらいながら、住宅モデルを編集できるというメリットがある。
空間の広さや高さを実感してもらいながら、壁紙や床材を変更したり、家具を移動させたりできる。

バーチャル空間に入ったままで、壁紙や床材、家具などを瞬時にコーディネートできる。

バーチャル空間に入ったままで、壁紙や床材、家具などを瞬時にコーディネートできる。

VRを体験中の建て主と対話しながら、意向に沿った変更ができるので、打合せ用ツールとしても利用可能だ。
VRヘッドマウントディスプレイにはOculus Riftを採用。モーションセンサーが前後左右のほか高さ方向も検知するので、椅子に座った時にどのように見えるかも確認できる。
本製品の面白い機能としては、自動ウォークスルーモードがある。

平面図上で、見たい箇所をクリックしていくと、それぞれの点を自動的に滑らかにつなげて移動できる。
VRで見ると、乗り物で移動するような感覚で室内をツアーして回れるという仕掛けだ。
メガソフトVRソリューションは、ヘッドマウントディスプレイ、高性能ノートPC、ソフトウェア、導入・保守サービスがワンセットになった製品であるが、ノートPCを採用しているのでどこにでも持ち込んでVR体験をしてもらえる。
同社ではメガソフトVRソリューション用に専用のキャリングケースも用意している。

VRソリューション用キャリングケース

VRソリューションキャリーバッグの中身

メガソフトVRソリューションのWebサイト http://www.megasoft.co.jp/vrsolution/

冒頭で、VRヘッドマウントディスプレイにはコンテンツの充実が課題であると書いたが、今回紹介した建築分野でのVRシステムは、どの製品も自社内でVRコンテンツとしての住宅モデルを自作できるのが強みだ。建て主の要望を受けて建築プランを作成するという、これまでの手順の延長線上でVRによる体感プレゼンテーションを実現している。
平面図や立面図などの2次元の世界に3Dパースによる提案が出現して久しい。登場したてのころはチープだった質感も、今や写真と見違えるようなリアリティを実現した。VRシミュレーションの世界も、そう遠くない将来には建築プレゼンテーションの手法の一つとして当たり前になり、よりリアルにより手軽により多くの人が体感できるようになるのはまちがいないだろう。

サクセスインテリアではVRに関して以下の記事も書いています。

メガソフト株式会社:メガソフトVRソリューション【Living & Design 2016】

話題のヘッドマウントディスプレイでVR体験にきてください:メガソフト東京事務所ショールーム

インテリアVR体験レポート:町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー

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